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夜明の自由気ままな日々の生活を無理矢理聞かされます。

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生徒会長を完封せよ!【4】

また広告出てる?!駆逐せよ!と慌てて日記書く夜明です。
毎度のことですが、更新しなさすぎてごめんなさい……。
何か更新しないとなぁとは思ってはいますが、筆が乗らず申し訳ない。

拍手やコメントを返信不要で下さる皆様。
ホントいつもありがとうございます!
もはやただ息をしてるだけのサイトではありますが
何かしら書いて返したいとは思っています!
今後も暇な時にまた覗きに来て下さると嬉しいです!

またこの季節がきましたよ!
夏の甲子園、毎日いろんなドラマがあって眩しいです!
そして思い出す。おお振り生徒会長小話。
でもまぁ今年は忙しくて忘れてたんですが。もごもご。
せっかくなので置いて行きます。需要はなさそうですが。笑

では、今回はこの辺りで!
興味のある人だけどうぞ!
一応設定☆(榛名お相手の愛を中心に笑いを叫ぶ不思議な話)
都筑なずな(デフォルト名)
武蔵野第一高校三年の生徒会長。ものすんごい美人で性格温厚な出来た人。武蔵野のマドンナで、野球部マネである涼音の親友。榛名の想い人だが本人は全く気付いていない。

【出会い】


「なぁ榛名ー、ずっと思ってたんだけど、お前、いつ都筑先輩のこと好きになったの?」
「はぁん?!」

部活終わりの片付けの最中に秋丸が言い放った豪速球に対応しきれず、榛名はボール籠を落とした。バラバラと散らばるボールを見て秋丸が残念そうな視線をやるが、榛名は顔を赤くしてワタワタとするばかりだった。言葉にならない言葉で呻きながら秋丸をなじるが幼馴染の秋丸は榛名の口の悪さには慣れっこだ。

「で? どうなの?」
「それは……」
「確かに都筑先輩綺麗な人だけど、お前最初の頃、生徒会で見掛けても普通だったじゃん」

秋丸に追い詰められる榛名はうぐぐと唸りながら後ずさる。
別に言いたくないわけではないが、何だか秋丸にやり込められてる気がして悔しかった。
何考えているのかよく分からない眼鏡に見つめられて、ようやく榛名は折れてしゃがみ込んだ。

「……1年の1学期の終わり頃にさ、あの人、裏庭の木に登ってたんだよ」
「はぁ?」

榛名と一緒になってボールを拾っていた秋丸は素っ頓狂な声を上げた。無理もない。まさかあの生徒会長がそんなことをしているとは思いもよらなかった。唖然としている秋丸に小さく笑って榛名は再びボールに手を伸ばす。


***


1年前のあの日、榛名はふざけて投げたボールが裏庭の方に飛んで行ったので探しに行ったのだ。裏庭なんて焼却炉があるくらいで木々が鬱蒼としていて誰も来ない。焼却炉とは逆の方向をウロウロしていた榛名は誰かの声がして足を止めた。辺りを見渡すと太くて低い木の上に制服姿の女子がいた。

『お、お願い。動かないで。私も木登り得意じゃないの』
『にゃー』

何かに話しかけていると思った直後に小さな猫の鳴き声がして榛名はいろいろ理解した。どうやら木に登って降りれなくなった猫を助けようとしてるらしい。何だか奇特な人間だと思ったが、さっきの言葉通り木登りは苦手なようで白くて細い足が震えていた。
榛名は善人ではないのでボールを拾ったらすぐさま立ち去るつもりだった。
しかし、彼女の震える後姿と声を聞いていたら動けなくなってしまった。
けして眼前の彼女のスカートの中が見えそうで気になって動けなくなったわけではない。


「え、何、お前その状況で覗いたの……?」
「バッ……! 覗いてねぇよ! あれしゃがんでも見えなかったし!」
「(しゃがんだのか)」


ジト目の秋丸から逃れるように榛名は当時の話に戻る。
猫を掴んだ彼女はホッと息を吐いていたが、今度は自分が降りれないことに気が付いた。普通に降りればいいのだが、猫を持ったまま降りるのは難しかった。

『ど、どうしようか……』

困っている彼女にあきれ返った榛名は足元の土を蹴りつつ、木の下へと向かった。彼女の猫を預かれば何とか自力で降りれるだろう。そう思っての行為だったのだが、これが裏目に出る。
木の真下に来た榛名は後ろから声を掛けた。

『おい。猫を預かってやるから』
『へ?! きゃっ……』
『バッ……! 手を離すな!』

急に声を掛けた榛名に驚いて彼女が振り返り、木登りには向かないローファーが滑った。まさか猫ごと降ってくると思わなかった榛名は驚いたが、大事な肩をかばって彼女を見捨てるわけにもいかず、仕方なく右腕で抱き留めて衝撃を殺すように背中から地面に倒れ込んだ。

『いっつ……、このっバカ! 怪我したらどうすんだ!』
『ごめんなさい! まさか人がいるとは思わなくて』

寝転がる榛名の上に乗っている彼女がガバリと顔を上げてそのままの勢いで謝る。榛名はその時初めて彼女の顔を見た。非常に整った顔の美人が涙を浮かべて自分の上にいた。思わず怒りも吹き飛んで、今度はこの状況に困惑する羽目になった。

『……もういいから早く退いてくれ』

慌てて彼女が身を起すのを見ながら、両肩を回して違和感がないことを確かめる。木が低かったことが幸いしたようだ。倒れた衝撃で尻と頭をぶつけた気がするが、どうやら肩と背中は無事らしくホッとした。

『いたっ……』

立ち上がろうとした彼女が小さな悲鳴を上げて再び榛名の胸元に崩れ落ちる。その様子に榛名はザっと青褪めて彼女を抱いたまま身を起す。

『どっか怪我させたか?!』
『う、動かないで! 髪が絡まって痛いの!』
『髪?』

よく見ると榛名のブレザーのボタンに彼女の長い髪が絡まっていた。どおりで動けば痛いはずである。榛名は怪我の怖さを身を以て知っている。自分の怪我はもちろん、他人に怪我をさせることも心底嫌なのだ。
彼女は髪を引かないようにそっと榛名の上から降りて解こうとしながら謝った。

『巻き込んで本当にごめんなさい。ちょっと待ってね。頑張って解くから』

涙目で一生懸命解こうとしている彼女をぼんやりと眺めて、ようやく今の有り得ない状況に思い至った。美人が恥ずかしそうにしながらすぐに触れる距離で絡まった髪を解いている。不意に跳ねた鼓動に落ち着けと心中連呼するが、自分のものではない良い香りが漂って来てほとんど効果はなかった。そういう時に限ってさっきの見えそうで見えないスカートや、抱き留めた身体の柔らかさなどを思い出して榛名は罪悪感で視線を逸らす。

『取れた』

嬉しそうにそう言った彼女がスッと離れて、榛名は少し物悲しい気分を味わいながら立ち上がった。離れてみて初めて彼女のリボンの色が違うことに気付いた。

『先輩、だったんスね……』
『え、あ、うん。私は2年の都筑なずな。さっきは助けてくれてありがとう』
『あ、1年の榛名です』
『榛名くん、ありがとうね。怪我はしなかった?』

ニッコリ笑って礼を述べたなずなが怪我を確かめるように榛名の手に触れると、その瞬間、湧き上がるような熱さを感じて榛名は思いっきり手を振り払った。真っ赤になった榛名が身体を引くと、なずながごめんなさいと謝る。

『(何だこれ、何だこれ、何だこれ?!)』

申し訳なさそうななずなに首を振って、自分のおかしな事態に混乱する。
何だかよく分からないが、なずなの行動の一つ一つが気になって仕方がないのだ。
なずなの白くて柔らかそうな指先を見つめていると、小奇麗に畳まれた女物のハンカチが差し出された。

『ごめんね。私のせいで服汚れちゃったね。よかったらこれ使って?』

差し出されたそれを思わず受け取ってしまったが、どうしたものかと悩んでいると校内放送が掛かる。生徒会役員を呼び出す放送に顔を上げたなずなはもう一度榛名に礼を言って立ち去ってしまったのだった。


***


「結局、あのハンカチは何でか使えず仕舞いでさ、返そうと思って持ち歩いてたんだよ。だけど先輩いつも誰かと一緒にいるから渡すタイミングがなくて、2学期になってようやく返した時、俺この人のこと好きだって気付いた」

零れたボールを全て拾い上げた榛名は籠を持って立ち上がると開き直って秋丸を見た。
多分、きっかけはあの猫事件だろうけど、その後ハンカチを返そうとずっと目で先輩を追い掛けてる内に好きになったんだろうな。
そんなことを考えながら榛名は片付けに向かう。それを秋丸が追い掛けて来て横に並ぶと、思い出したように声を上げた。

「そういやさ、いつだったかハンカチにアイロンってかけていいものなのかって聞いてきたことがあったけど、あれって……」
「ぶっ!!」
「ふーん。そういうことだったのかぁ」
「いや、あれは、別にっ」

思わぬ発言に噴き出した榛名は顔を真っ赤にして秋丸に詰め寄るが、秋丸はどこ吹く風。結局、幼馴染に丸め込まれて完敗の榛名だった。


end

切欠ってそんなものだよねー。目で追うようになったらアウトだよねー。笑
青春してるね、榛名!笑

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